Binanceと公式ウォレット、ADAをステーキングするならどっち?

ステーキング

Cardano・ADAのステーキング(Staking)とは、ADAを保有するだけでADAがもらえる仕組みです。公式ウォレット(ダイダロスヨロイ)でできます。

ダイダロスウォレットでのステーキング方法
ヨロイウォレットでのステーキング方法

ただ、世界最大の仮想通貨取引所Binance(バイナンス)では「ロックステーキング」というサービスが提供されており、高い年利で投資家を惹きつけています。

この「ロックステーキング」は、公式ウォレットのステーキングと似ているようでまったく違います。この記事では、2つのADAステーキングサービスの違いについて解説します。

結論:利便性・安全性・Cardanoの発展を優先するなら公式ウォレット、年利を優先するならBinance

公式ウォレット Binance
年利 5~5.5% 5.09~8.38%
安全性 ×
資産のロック なし あり
金額の上限 なし 50万ADA
分散化 ×
開発への投票権 ×

年利はBinanceが高いですが、その他の項目では公式ウォレットの方が優れています。どちらにしようか迷っている方には、特に安全性・利便性の観点から公式ウォレットでのステーキングをおすすめします

Binanceと公式ウォレットの比較

年利

2021年7月現在、Binanceの方が年利が高いです。

Binanceのロックステーキング:5.09%~8.38%

公式ウォレットのステーキング:5%~5.5% (プールによって変動あり)

Portfolio Details – Cardano Stake-Pool Portfolios | adafolio
https://adafolio.com/portfolio/072a4afc-025c-11eb-ab11-a45e60be653b

BinanceにおけるADAのロックステーキングは30日・60日・90日と3つの期間から選択できます。
30日の年利は5%程度で、ウォレットでステーキングするのとほとんど変わりません。60日・90日のロックでは8%程度の年利がもらえるので、2021年7月現在では公式ウォレットよりも高い報酬を得られます。

Binanceがこのような高利率を提供できているのは、顧客がロックステーキングをしていない分のADAや、Binanceそのものが所有しているADAもステーキングに回せるからだと考えています。

ただし、Binanceで高い利率を得るためには条件があります。

  • ステーキング期限が来るたびにステークし直す必要がある。
  • ステーキング枠が売り切れていてステークできないことがある(特に高利率のもの)。

特に2つ目のステーキング枠が大きな問題です。高い利率の枠はたいてい売り切れになっていて、ステーキングしたくてもできないことがよくあります。ステーキングできない期間が長くなると、年利もその分落ちてしまいます。

一方公式ウォレットでは、放置していてもステーキングは永遠に有効です。誰でも簡単に5~5.5%の年利を得ることができます。

安全性

公式ウォレットでステーキングする方が安全性が高いと言えます。

公式ウォレットでステーキングする場合、ウォレットの復元フレーズ(パスワードのようなもの)さえ管理できていれば資産を失う可能性はありません。他人にADAを預けなくてよいので、ステーキングによって資産を失うリスクが増えることはありません。

一方Binanceでステーキングをする場合、あなたがパスワード管理をどんなに徹底していても、Binanceそのものがハッキングされる可能性があります。世界1位の仮想通貨取引所となれば、ハッカーの標的になっていないはずがありません。

日本で起こった有名なハッキング事件では、2018年のコインチェックのNEM流出事件があります。

当社がお客様からお預かりしていた仮想通貨であるNEMのうち、5億2630万10XEMが、平成30年1月26日午前0時2分から午前8時26分までの間に、不正アクセスによって外部へ送金されました

仮想通貨NEMの不正送金に関するご報告と対応について | コインチェック株式会社
https://corporate.coincheck.com/2018/03/08/46.html

ここで重要なのが、「当社がお客様からお預かりしていた」という部分です。つまり、取引所に置いたままの仮想通貨は厳密にはあなたの資産ではなく、取引所が所有しているのです。
顧客が取引所で仮想通貨を買う時、ブロックチェーン上では何も動いていません。取引所の「信用」を買っているだけです。個人のウォレットに送金して初めて、あなたの資産がブロックチェーン上に記録されます。

また、Binanceが日本人に対するサービスを停止する(または停止させられる)リスクもあります。
2021年6月には、無登録で日本人に対する暗号資産交換業を行っているとして、金融庁がBinanceに警告を出しました。

3年ぶり2度目の警告

貴重な資産を失うリスクを少しでも減らしたいなら、公式ウォレットでのステーキングがおすすめです。

資産のロック

公式ウォレットの場合、ステーキング中も自由にADAの送金・入金ができます。

一方、Binanceでのロックステーキング中はADAの売買や送金ができません。ロックを解除すると2~3日後に売買・送金が可能になりますが、その場合ステーキング報酬がゼロになります。

相場の状況に応じて売買をしたい方や、毎月ADAを積み立てで購入する方には公式ウォレットがおすすめです。公式ウォレットのステーキングなら、ウォレットに追加で入金した分も自動的にステーキングの対象となります。

ステーキングの上限額

公式ウォレットでのステーキングにADAの上限はありません。

一方、Binanceでのステーキングは50万ADAが上限です。(2021年7月現在)

50万ADA以上Binanceで保有されている方は、残りを公式ウォレットでステーキングすると効率よく資産運用できます。

Cardanoの分散化への貢献

公式ウォレットでステーキングすることで、ブロックチェーンの分散化に貢献することができます。一方、Binanceでのロックステーキングはブロックチェーンの一極集中を生み出してしまいます。

下の図はステークプールの世界シェアです。

Groups | Cardano Staking
https://adapools.org/groups

2021年7月現在、世界には約2800個のステークプールが存在しますが、ステーキングされているADAのうち12%がBinanceに集中してしまっています

現状ではBinanceがCardanoブロックチェーンを改ざんできるほどの量を握っているわけではありませんが、一つの団体にこれほどのステークが集中するのは好ましくありません。

一方、個人プール(Single Pool Operators)にステーキングされているADAは全体の21%にとどまっています。個人プールの数は全体の70%以上を占めるにもかかわらずです。
個人プール運営者の多くが、毎月数万円かかるサーバー費用をまかなうことができず苦しんでいます。

Cardanoの分散化を推進したい方、個人プール運営者を応援したい方には、公式ウォレットからのステーキングがおすすめです。

Cardanoの開発への投票権

数か月に一回、Catalyst(カタリスト)という、Cardanoに関する開発への投票制度があります。
投票を多くもらった優秀な提案には、計画を実行するための予算としてADAが配られます。また、投票をする側、すなわちADAを保有する人にも報酬としてADAが配られます。

公式ウォレットでステーキングしている場合はCatalystで投票する権利がありますが、BinanceでADAを保有していても投票する権利を得ることはできません。

CatalystはCardanoの発展にとって欠かせない制度であると共に、ADAホルダーも少量ながらADAを獲得するチャンスです。Catalystの投票をしたい方は公式ウォレット一択です。

また、Binanceが全世界の12%ぶんの投票権を持っているというのも大きな問題です。Binanceが本気を出せばADAの開発を妨害することも可能でしょう。(やらないと思いますが)

Cardanoの発展を応援したい方には公式ウォレットからの投票をおすすめします。

以上、公式ウォレットのステーキングとBinanceのロックステーキングの比較でした。

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