カルダノ(ADA)には、ダイダロス・ヨロイの2種類の公式ウォレットがあります。
簡単に違いを説明するなら以下のようになります。
- ダイダロス…動作が重いかわりにセキュリティが高い。PC限定。
- ヨロイ…サクサク動くがセキュリティではダイダロスに劣る。PC・スマホ対応。
ただ、ダイダロスに劣るからと言ってヨロイのセキュリティが低いというわけではありません。
2つのウォレットの特徴や選び方について詳しく見ていきましょう。
仮想通貨ウォレットにおけるダイダロス・ヨロイの立ち位置
一口にウォレットと言っても、いろいろな種類のものがあります。
- 取引所のウォレット(コインチェック・Binanceなど)
資産を取引所が保有する。 - ホットウォレット(ダイダロス・ヨロイなど)
資産をユーザーが保有する。インターネットに接続されたウォレット。 - コールドウォレット(Ledger・Trezorなど)
資産をユーザーが保有する。インターネットに接続されていないウォレット。
カルダノ公式ウォレットのダイダロス・ヨロイは、どちらも「ホットウォレット」に分類されます。コールドウォレットよりも利便性が高く、取引所のウォレットよりも安全性が高いのが特徴です。
ダイダロス・ヨロイの比較
ダイダロス | ヨロイ | |
---|---|---|
開発 | IOHK | EMURGO |
ブロックチェーン | ダウンロードする | ダウンロードしない |
対応機器 | PC | PC、スマホ |
動作 | 重い | 軽い |
安全性 | ◎ | ○ |
順に見ていきましょう。
開発
ダイダロスの開発はIOHK、ヨロイの開発はEMURGOです。どちらもカルダノの中核をなす企業で、どちらかが良いとか優れているというわけではありません。
ざっくりと違いを述べると、IOHKは主にカルダノブロックチェーン関連の開発を、EMURGOは主にカルダノのビジネス面を担当しています。
ブロックチェーンデータ
ブロックチェーンは世界中で起こったADAの取引を全て記録したものです。
ダイダロスはブロックチェーンの全データをダウンロードしますが、ヨロイはブロックチェーンのデータをダウンロードしません。
ダイダロスはブロックチェーンと直接やり取りしますが、ヨロイは「ブロックチェーンと直接やり取りする人」にお願いする形で送金します。この「ブロックチェーンと直接やり取りする人」はEMURGOです。つまり、ヨロイの利用者はEMURGOを信頼する必要があります。(どの程度信頼する必要があるかは、「安全性」のところでお話しします)
一方、ダイダロスの利用者は何も信頼する必要がない、いわゆる「トラストレス(trustless)」な状態です。ただ、ダイダロスのプログラムのオープンソースコードを読めない利用者は、結局IOHKやコードを解析できる人を信頼して利用することになります。
「ブロックチェーンデータをダウンロードするか」これこそが2つのウォレットの本質的な違いであり、対応機器・動作・安全性と言った他の違いを生み出しています。
対応機器
ダイダロスはPC限定ですが、ヨロイはPC・スマホで使えます。
さすがにブロックチェーンの全データをダウンロードするとなると、2021年現在のスマホのスペックでは負荷が高すぎます。将来はスマホでもダイダロスが使える時がやって来るかもしれませんが。
また、同じPCで使用する場合でも2つのウォレットは少し仕組みが違います。ダイダロスはソフトをダウンロードする「デスクトップウォレット」ですが、ヨロイはブラウザの拡張機能を利用する「ウェブウォレット」です。
動作
ダイダロスはブロックチェーンのデータをダウンロードする必要があるので、動作は重くて不便です。一方、ヨロイはEMURGOが代わりにブロックチェーンとやり取りしてくれるので、動作が軽くて便利です。
ダイダロスがどのくらい重いかと言うと、
- ウォレット作成時のデータダウンロードに数時間かかる
- ウォレットを開くたびに最新のデータダウンロードで数分待つ必要がある
といった感じです。バッテリーも結構消費します。
一方、ヨロイの操作で待ち時間が発生することは、送金時を除いてほぼありません。
安全性
どちらかと言えば第三者を信頼する必要のないダイダロスの方が安全性が高いですが、ヨロイでも十分高い安全性が確保されています。どちらのウォレットでも、送金に必要な秘密鍵はユーザーのデバイスのみに保存されているため、EMURGOを含めた第三者が勝手に資産を奪うことはできません。
ヨロイのリスクを挙げるとすれば、万が一EMURGOのサーバーが落ちてしまった場合に資産の引き出しができなくなることぐらいです。ただ、もし長時間EMURGOのサーバーが落ちてしまった場合はADAの価格も落ちるでしょうから、ダイダロスを使っていようとダメージは避けられないと思います。
もう一つダイダロスとヨロイの安全性に関わる違いを挙げるとするなら、復元フレーズの英単語の数です。ダイダロスは24語と多いのに対して、ヨロイは15語と少なくなっています。15語でも十分セキュリティは高いので、この違いを気にする必要はほとんどありません。
復元フレーズの英単語は2048種類あります。
2048種類の単語から適当に15個選んで並べたフレーズがあなたのヨロイウォレットの復元フレーズと一致する確率は、2048の15乗分の1=10の49乗分の1ほどです。 つまり、誰かが当てずっぽうであなたのヨロイウォレットを乗っ取ることは、地球上の全人類から1人だけ当たる宝くじに5回連続で当たるくらい難しいです。まず不可能です。
ダイダロスウォレットの24語だと10の79乗分の1ほどになります。10の79乗となると宇宙に存在するすべての原子の数と同じくらいですから、当てずっぽうでウォレットを乗っ取られることはまず考えられません。
それよりも、復元フレーズを他人に知られるリスクの方がよほど高いです。復元フレーズは誰にも見られないよう、厳重に保管しましょう。
ダイダロス・ヨロイのどちらを選ぶべき?
PCのスペックで選ぶ
まずはお持ちのPCのマシンスペックをご確認ください。
ダイダロスでは、メモリ16GB以上・ストレージの空き25GB以上が推奨されています。
Daedalusの動作環境について – IOHKサポート
もしこの条件を満たすPCをお持ちでない場合はヨロイがおすすめです。条件を満たしている場合はどちらのウォレットもお使いいただけます。
スマホでウォレットを使うかどうかで選ぶ
ダイダロスは2021年12月現在スマートフォンに対応していません。スマホでもADAのウォレットを使いたい方はヨロイ一択です。
利便性で選ぶ
ダイダロスはウォレット作成時に数時間、その後はウォレットを開くたびに数分の待ち時間を必要とします。一方ヨロイで待ち時間が発生することは送金時以外ほとんど無く、サクサク動きます。
ウォレットをすぐ使いたい方にはヨロイがおすすめです。
安全性で決める
ヨロイでも十分安全性が高いとは言え、より安全性の高いほうが好ましいという気持ちもわかります。
そんな方にはダイダロスがおすすめです。
分散金融への熱い想いで決める
既存の中央集権的な金融システムにうんざりしている方や、トラストレスなシステムが大好きな方が分散金融の理想を追い求めるのであればダイダロス一択です。
ウォレットごとのダウンロード・初期設定方法
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